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春の里山

昨日歩いた春の里山は小雨でもそれは木々の萌えが美しかった。 鳥を見聞きするのが目的だが花を愛でたり、その他の小動物も観察して楽しんだ。 芽吹き始めた山は霧の中にあってパステル色でそれは美しい。この季節が一番好きだ。 夏鳥はまだ来ていない。ヒガラやシジュウカラ、ヤマガラがさえずり、ウグイスが競う。ガビチョウは少ない。スミレもそこここで可憐に咲いている。コクサギも黄色い小さな花を咲かせている。コクサギは存在感のある匂いを発するが、葉の表面を触った指の匂いを嗅ぐと焙じ茶の匂いがする。この意見に同意してくれる人は少なかったが。 林道ではヤマアカガエルがゆったり坂を上っていた。備忘録で識別のポイントを書いておく。 <茶色いカエルの4種の識別(タゴガエル、ナガレタゴカエル、ニホンアカガエル、ヤマアカガエル[*1]> 指先に丸いこぶがない。もしあればタゴカエル。 背と脇腹の境の筋が目の後ろで内側に曲がればヤマアカガエル。もしほぼ真直ぐならニホンアカガエル。 ネコノメソウも面白い。ヨゴレネコノメソウやネコノメソウの葉のつき方がじっくり見ると巧みにできている。成長にあわせた分岐の時期が異なるだろうに今は見事に全体が水平面を作っている。どうやって水平にあわせるように分岐のタイミングと形状を決めているのか。遺伝と発生の不思議を思う。 (2011.04.10記) [1] 奥山風太郎、 ”山渓ハンディ図鑑9 日本のカエル+サンショウウオ類”、山と渓谷社2002年4月。

原子力発電事故の基礎知識(7) ー原発のリスクとコストー

今日の J-wave、jam the world の15min.を聞いていてモノスゴク腹が立った。 今の流通しているレベルの放射性物質が付着した食べものを食べても絶対に安全であると言い切ったことである。「絶対に」+「安全」の組み合わせである。 それを権威として「安心しました」とコメントする八塩圭子キャスターも不勉強でこちらも安全デマに加担していると腹が立った。腹が立つとはまだ未練があると思っているのだろう。 腹を立てているだけでは前に進まないので自分なりに考えてみた。 ゲストの渡辺氏の論点は、国の安全基準は厳し目に制定されていること、ヨウ素は体内に取り込まれる割合が最大でも20%であること、放射性物質を数品しばらく食べても1000分の1とか1000分の3とかのレベルであることをあげて、だから絶対安全だと言い切っている。 低レベルの内部被曝は確率的リスクである。なので、絶対にとは言えない。正規分布なら確率が0になるのは無限遠である。時間が無限の時間かかって初めて0になる。つまり永遠に0にならない。この意味で絶対安全とは言ってはいけない。 次に確率的リスクとは社会のコストを計算する必要がある。 もし確率が1000分の1のリスクを1000個集まると1つの事象が生じるということ。 福島原発起因の放射性暴露を受ける人口はどの程度であろうか。100万人いたとして、リスクが1000分の1なら1000人発ガンなどの病気になるということだ。 これは原発だけではない。 車の事故で毎年1万人程度死ぬが、このリスクは日本人の人口で割った1万分の1程度だろう。この死亡事故による損失あるはコストより車の利便性を社会が享受するという合意が社会にあると考えられる。 タバコの場合はどうだろうか。副流煙も含めて年間の死亡者がどの程度か知らないが、これも一種のリスクで診察料、 健康保険料を含めた社会コストを負担していると考えられる。 今回の原発事故はどの程度のリスクでどの程度のコストがかかるのだろうか。福島原発で意図的に有放射性物質を大量放棄した日本国はその低レベルの放射性被曝のリスクを広範囲に晒した格好だ。太平洋を囲む諸国の沿岸部ばかりでなく海洋生物資源を食料とするヒトの数を億人単位で増やしてしまったのでは無いかと懸念する。 一人一人のリスクは小さ...

原子力発電事故の基礎知識(6) ー原子力専門家の責務ー

これまで福島原発から遠いので放射能の懸念は放射性物質の摂取による内部被曝が中心と思ってきた. しかし, 福島第1原子力発電所2号機のタービン建屋の外の坑道(トレンチ)で、高い放射線量[*1]などが起こっているとするといったい何に気をつけたら良いのだいと言いたくなる.高レベル放射線の被曝による急性障害と長期間低レベル放射線の被曝による晩発障害とがあるが,ここ事故地から200km圏内でも急性障害に気をつけなければならないといことだろうか. きっとウランも漏れているのではないか.ウラン235が漏れると中性子線もでる.ウランやプルトニウムは重い原子だから遠くには飛ばないと聞く.遠くとはどの程度なのか. ウランの核分裂で発生した中性子線で電子装置内の半導体も障害を受ける.電子機器が障害を受けるとどんな影響が出るんだろう.通信とか電力とかインフラを支えるコンピュータは障害を起こさないのか.プルトニウムの化学的毒性はどうか. ヨウ素だけ考えれば良かった状況が一変した.晩発障害はあるいみ癌と同じでしょうがないと思っていた.しかし,急性障害だと話は全く違うものになる.関東圏も気象によっては高濃度の放射性物質と高レベル放射線を気にしなければならないのか.素人がwebを通じて勉強しても全く安心材料がない.専門家はこれに回答しなければならない. [2011.03.28記] *1: 建屋外にも汚染水 福島第1原発2号機の燃料棒、深刻な損傷か   http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9C81E2E2E3E2E2E2E68DE0EAE2E1E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;at=ALL コメントをいただきました(2011/03/27). from:TABATA 山内さんが、訂正前の文書も付けて 改正版をアップしているのはよいとおもいます。 こういう土俵が欲しかったのですから。 プルトニウムなどに関する化学的毒性についての示唆は貴重なものと思います。まだだれも公言していないのでは。だれか化学者のサイトに質問を出してはどうでしょうか。 私も何かさがしてみます。 福島第一原発の3号炉がプルサーマル仕様だということがいわれていますが、まだ東電当局は明言していませ...

原子力発電事故の基礎知識(5) ー山内さん見解に対する見立てー

原発の基礎知識の ブログ を(4)までを書いた後,友人から*1について「 非常に検討する価値がある新鮮な文書を見つけました。理科系の頭脳で要約してみてください。」と注文がきた. webの著者は スウェーデン国立スペース物理研究所 ( Swedish Institute of Space Physics (IRF))の科学者・ 山内正敏さんで,今回の福島原発事故で外部被曝を避けるためにどの 『どこまで放射線レベルが上がったら行動を起こすべきか(赤信号と黄信号)』に点いて書かれている. このページは改訂されており,改訂前のページに対しては 東北大学の北村 正晴 名誉教授が辛口のコメントを掲載している[*2]. 山内さんの動機である, 『現在の放射能の値は安全なレベルである』   という談話を発表していますが、残念ながら、どの組織も   『どこまで放射線レベルが上がったら行動を起こすべきか(赤信号と黄信号)』  を発表していません。 に激しく同意する.TVに出てくる安全・安全と繰り返すヒトはどうなったらどういった行動を起こすかを併せて言う必要がある. このページではいつ退避すべきなのかを氏の論文を考察する.結論として,「山内さんの結論は仮定された数字に根拠が示されていないため(1),(2),(6),(7)を指針と出来るかわからない」である. 主張のポイントは, 外部被曝の(許容)上限値を総量100 mSv(ミリシーベルト)とする(妊婦以外の大人). 住居付近で放射能濃度の悪化に気がついてから脱出まで半日かかると仮定 悪化とは刻々と状況が悪くなる事態を意味するので危険値は100時間で割るのが妥当 (1) 居住地近くで1mSv/hに達したら、緊急脱出しなければならない = 赤信号。 (2) 居住地近くで0.1 mSv/hに達したら、脱出の準備を始めた方が良い = 黄信号。 (3)  妊娠初期(妊娠かどうか分からない人を含めて)の場合、居住地近くで0.3 mSv/hに達したら、緊急脱出しなければならない = 赤信号 (4) 妊娠初期(妊娠かどうか分からない人を含めて)の場合、居住地近くで0.03 mSv/hに達したら、脱出の準備を始めた方が良い = 黄信号 (5) (福島)原発から北西と真南に伸び...

原子力発電事故の基礎知識(4) ー問題点ー

原子力発電の基礎知識(3)まで書いたところで妻がAERAの最新号を買って帰ってきた. twitterでものすごく評判の悪い表紙である.中身を読むと書いてある事は勉強の範囲で別に驚くような事は書いていないし,放射能(放射性物質)は気象条件により遠くまで飛散するので表紙もそんなに誇張されているわけではない.ただ,人体に影響がある量かどうかだ. 記事でちょっと気になったので調べてみた.気になる点とは「ヨウ素は〜,臨界が止まった状況だったので炉内の量は既にそんなに多くはなく心配の必要な無いが,仮に臨界が起きたとすると事態は変わる.炉内で大量に作られ始める事になる」である.これは本当だろうか.ヨウ素131は臨界以上のウランの核分裂でしか出来ないのかを調べた. まず見つけたのは参考[1].ここれは使用済み燃料棒の発熱は「核分裂生成物( クリプトン89、ストロンチウム89,90、イットリウム90、ジルコニウム95、ヨウ素131、キセノン133、135、セシウム137など)をはじめとする、非常に多数の数時間、数日以上の半減期を持つ物質の崩壊による放射線エネルギーによる熱」とのこと。これらの核分裂生成物が崩壊するときにヨウ素131が出ないのだろうか. 次に見つけたのが参考[2]だ.ここでは ウラン−238の自発核分裂  でのみ生じるのなら使用済み燃料棒ではあまり起こらないだろう.ひとまず安心. 生成と存在 ヨウ素のもっともよく知られている放射性同位体。天然では、大気中で宇宙線とキセノンの反応によって生成し、地上でウラン‐238( 238 U)の自発核分裂によって生じる。いずれにしてもその量は小さい。 〜 電気出力100万kWの軽水炉を1ヶ月以上運転すると、310京ベクレル(3.1×10 18 Bq)が蓄積して、その後は同じ量が存在し続ける。 結論として, 福島第一原子力発電所の事故で懸念しなければならないのはヨウ素131の内部被曝で,これまでの原子炉の爆発事故での放出が主だろう.今後ウラン238の臨界核分裂が無ければ半減期が短いので日を追って問題なくなるだろう. (2011年03月21日) *1: 使用済み燃料を冷却せずに放置したら、再臨界します? *2: 放射能ミニ知識(ヨウ素131)

原子力発電事故の基礎知識(3) ー許容放射量ー

どの程度放射性物質が拡散されても許容できるのか. これまでの勉強から理系的な理解では,次の関係が成り立つ. 私の体の許容被曝量が被曝した総量より小さい事. 許容被曝量<被曝量総量(t)=∫ (汚染源からの放射性物質の放射量(t)*汚染源から居住地までの到達率(t)),[t=0,τ] ここで,(t)は時間関数であり,[]は積分の下限値と上限値である.t=0は汚染開始時刻,すなわち,原子炉の事故発生時刻.τは事故からの経過時間(つまり今). f(t)を 汚染源からの放射性物質の放射量(t),g(t)を 汚染源から居住地までの到達率(t)とすると 許容被曝量<被曝量総量(t)=∫ f(t) g(t) dt,[t=0,τ] f(t)は国によって公開されている[*1].それによると 3月19日の12時前後の福島第一原子力発電所事務本館 北側においてモニタリングカーにて空気中のダストを初めて採取して核種 分析を実施した結果は, 検出された主な核種は揮発性のよう素-131では5.940×10^-03(Bq/cm 3 ) 粒子状のセシウム-137では0.024×10^-03(Bq/cm 3 ). 福島第一原子力発電所の1号炉が水素爆発したのは3/12の15:36分頃. 3月15日  6時10分、福島第一原発の2号機から爆発. 3号機付近で放射性物質を400ミリシーベルト/時を確認[*3]. 福島第一原子力発電所の正門において測定した放射線量は図を引用 . 次に 汚染源から居住地までの到達率(t)を考える.これはチェルノブイリの事故を参考にする.風や降水の気象状況に大きく依存するので一般解を求める事は出来ないが,チェルノブイリでは放射性物質が10t出たとすると,そのうちのセシウム137は %であろう.汚染源であるチェルノブイリ原発から300km圏内では 黒灰色の 15−40Ci/km^2が最も大きな数字に見える.これをどう考えるのかでいくらでも数字をコントロールできる.ピークで考えるのか,平均で考えるのかで桁で数字がかわるだろう. リテラシーの問題だから自分の頭を使って考えるしか無い. 健康問題は最悪ケースを想定する. この場合ピークを使うのが正解と考えた.そこにいた場合が最悪だから である. とすると,300km圏内のピークは原発位置から50k...

原子力発電事故の基礎知識(2) ー事故の問題点ー

「何が問題か?」:改めて今回の福島第一原子力発電所の事故で何が問題かを整理する.問題点はつまるところ2点. 放射能被曝 東京電力の発電能力低下とそれに伴う関東の電力不足 2点目の電力不足は計画停電で回避策が短期的にはとられている.受益者である東電の給電エリアの関東の人が甘んじて受け入れなければならない. 問題は1点目の放射能被曝.放射能とは広い意味で放射性物質と放射線を含む.ここでは広い意味で使う.被曝に影響する核分裂時に生じる放射能とは次になる[*1]. 核:α(アルファ)線,中性子線 (質量のある粒子) 高エネルギー電磁波:γ(ガンマ)線,X(エックス)線,(質量の無い電磁波) 放射線とはこれら両方を言う.また,被爆には2種類ありそれで対応が異なる 外部被曝(人体表面から体外から直接放射線をあびること) 内部被曝(食べ物や呼吸から取り込まれた放射性物質から体内よりあびること) このうち外部被曝をさけるには, アルファ線を防ぐ = 皮膚全体が出ないように覆う. 電磁波を防ぐ = ガンマ線,X線とも透過力が高く鉛や金,コンクリートなどでしか遮蔽できないが,距離の2乗に反比例するので数km離れれば問題ない. 中性子線を防ぐ =  質量数の小さい物質のほうが効果的に遮蔽でき水素や炭素を多く含む物質、例えば水やポリエチレンで遮蔽できるが,こちらも数km離れれば問題ない. つまり,汚染源から離れる事である. 次に内部被曝をさけるには, 放射性物質を体内に取り込まない(食べ物や飲み物から内蔵へ,吸気から肺へ,傷から血管への入る経路) につきる.これは体内に取り込まれた放射性物質 は細胞の表面で 核分裂するので,これからの放射線のエネルギーと生体への影響は距離が短いので大きいためである.ただし,自然界にも放射性物質はラドンなどが存在する.そのため,体内に取り込んだ放射性物質の量が問題となる. 問題となる放射性物質の量はいくらであろうか. まず単位は シーベルト[Sv]で,生体への被曝線量を表わす. シーベルト(Sievert、Sv)とは、被曝線量という生体が受けた放射線の総量で、放射線の強さではない[*2]. 法律により許容される被曝線量(自然放射線や治療による被曝を除く)[*2,*3]は 放射線や放射能を扱う医師、レン...