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原子力発電事故の基礎知識(3) ー許容放射量ー

どの程度放射性物質が拡散されても許容できるのか.

これまでの勉強から理系的な理解では,次の関係が成り立つ.
  • 私の体の許容被曝量が被曝した総量より小さい事.
  • 許容被曝量<被曝量総量(t)=∫ (汚染源からの放射性物質の放射量(t)*汚染源から居住地までの到達率(t)),[t=0,τ]
ここで,(t)は時間関数であり,[]は積分の下限値と上限値である.t=0は汚染開始時刻,すなわち,原子炉の事故発生時刻.τは事故からの経過時間(つまり今).

f(t)を汚染源からの放射性物質の放射量(t),g(t)を汚染源から居住地までの到達率(t)とすると

  • 許容被曝量<被曝量総量(t)=∫ f(t) g(t) dt,[t=0,τ]
f(t)は国によって公開されている[*1].それによると3月19日の12時前後の福島第一原子力発電所事務本館 北側においてモニタリングカーにて空気中のダストを初めて採取して核種 分析を実施した結果は,


  • 検出された主な核種は揮発性のよう素-131では5.940×10^-03(Bq/cm3)
  • 粒子状のセシウム-137では0.024×10^-03(Bq/cm3).
福島第一原子力発電所の1号炉が水素爆発したのは3/12の15:36分頃.3月15日 6時10分、福島第一原発の2号機から爆発.3号機付近で放射性物質を400ミリシーベルト/時を確認[*3].福島第一原子力発電所の正門において測定した放射線量は図を引用





次に汚染源から居住地までの到達率(t)を考える.これはチェルノブイリの事故を参考にする.風や降水の気象状況に大きく依存するので一般解を求める事は出来ないが,チェルノブイリでは放射性物質が10t出たとすると,そのうちのセシウム137は %であろう.汚染源であるチェルノブイリ原発から300km圏内では黒灰色の15−40Ci/km^2が最も大きな数字に見える.これをどう考えるのかでいくらでも数字をコントロールできる.ピークで考えるのか,平均で考えるのかで桁で数字がかわるだろう.リテラシーの問題だから自分の頭を使って考えるしか無い.健康問題は最悪ケースを想定する.この場合ピークを使うのが正解と考えた.そこにいた場合が最悪だからである.とすると,300km圏内のピークは原発位置から50km圏に対してあまり小さくなっていない.つまり,50km圏内と同程度ということと考えた.つまり,下記の図でエイヤと30km位置の【21】,【31】,【32】と同じ危険性を持つと考える(番号は文科省の識別数字)[*4].




と色々計算しようとしてきたが,原発爆発からの総被曝量がどの程度か分からないが,これが小さいと思えるので,20kmないし30kmのところの数字を押さえておけばいいという結論になる.なるほどそういう事か.今日(3/21)の午前9:00-12:00の計測結果は【32】が90μSv/hであり,この強度の放射線をあび続けていると788mSvと基準を大きく上回る.逆に許容される被曝時間は11時間で1mSv/year(=(1mSv/year) / (90μSv/h))となる.なるほど半日いると年間の許容被曝量に達するんだ.これだと安心できないな.


今日(2011.03.21)の神奈川茅ケ崎市の場合は最大0.073μSv/h[*5].1200倍も違う.これはちょっと汚染源から居住地までの到達率の仮定がおかしいか.ということは端的に行って茅ヶ崎のモニター量をそれにすればいいんだ.
やっと分かった.茅ヶ崎のモニター値を基準にすることにする.



(調べながら&書きながら考えをまとめているの読みにくい点ご容赦)


神奈川に住んでいるwoodieの結論として,

  • 外部被曝は原発から相当離れているから気にしなくてよい
  • 内部被曝だけを問題視する.すなわち放射性物質の飛散が問題の核心.
  • 法的限度の1mSv/年(同じ線量を継続被曝すると0.4μSv/hが等価な線量)を許容限度とする.
  • 測定値のある神奈川県茅ケ崎市のモニター量を指標とする.
  • ただし,放射性物質の飛散は気象条件により大きく変わる(チェルノブイリ原発事故の事例では300kmと遠く離れても50km圏内と同じ放射能汚染の場所があった)ので,大きな事故など大量放出には絶えず気をつける.
です.(2011年03月21日)


*1Ci(キュリー)は3.7×1010Bq(クレル)に等しい.

参考URL:

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