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4月 17, 2011の投稿を表示しています

原子力発電事故の基礎知識(9) ー人への放射線の影響ー

正しく恐れるために正しく知識を身につけなければならない. 低量放射線なら問題無いとする一般向けの本を読んだ[1]. 著者の近藤宗平さんは,コトバンク[2]によると 近藤宗平 こんどう-そうへい   1922- 昭和 後期 - 平成 時代 の 放射線 遺伝 学者 。 大正 11年5月7日生まれ。 国立遺伝学研究所 勤務 などをへて,昭和38年阪大 教授 となる。のち近畿大教授。放射線による 突然変異 の機構を研究し, 損傷 したDNAの 修復 の 誤り ががん化にもつながることをあきらかにした。福岡県 出身 。 京都 帝大卒。 著作 に「人は放射線になぜ弱いか」など。 とある. 第三版改訂版のまえがきに動機と要約している. 「毒か安全かは量で決まる」とパラケルススの経験則をふまえると,1958年に国連原子放射線科学委員会が 採択した 「どんなに微量でも毒だ」の仮説は誤りで,著者の研究結果を踏まえ「放射線を少し浴びた場合でも被曝による傷が体から完全に排除される」ことの科学的根拠を述べた.この「防衛機構がp53タンパク質の絶妙な働きにより」その魅了と感動を読者に伝えたいので第三版に改訂したとのことだ. 序章では著者の原子放射線との係わりが書かれている. 1945年8月6日に広島の被災1週間後の8月13日に第2次調査班のメンバとして参加している.広島駅に着いてしばらく茫然とたっていた.海が見える範囲までい瓦礫と化して市街が消えていた.原子爆弾による破壊だと思ったという.当時京都大学理学部物理学科の実験原子核物理教室の3回生だったそうだ.爆心近くの光景はひどい火傷や怪我をおったって横たわる多数の人で,それは 私たちが繰り返し聞かされるその話なのだろう.ここを読むと改めて広島と長崎への原子爆弾はトルーマン大統領が決断し実行させた,市民を大量殺戮したジェノサイドだったということを思い起こす. 終戦後の混乱期にありラジオ屋や紡績会社の電気係,熊間と大学の付属高等学校での勤務したが,暇を見つけて熊本大学の物理教室に出入りし理論物理学の勉強を始めた.3年後京都に戻り高校に勤めながら物性論の研究の仲間に入った.戦後の物資欠乏期にあって紙と鉛筆と時間があればできる理論物理学は楽しかったという.液体の表面張力の分子論を原島鮮,岡小天,小野周の諸先生に指

原子力発電事故の基礎知識(8) ー正しく恐怖と向き合うためにー

3.11直後の原発事故に端を発した放射能の恐怖が世の中を覆った.私もそうだった. 無知は不安を増幅する.原発とはどんな危険性を持っているのか.どの程度放射能で影響が出るのか.そう思ってwebを調べてみた.でも特定の情報を固まりとし得るにはwebでは時間がかかりすぎる.やはり編集が入った本しかない,と思えるのだ. そこで3冊の本をAmazonで購入した. 1.「原子力発電(改訂版),電気学会編,1970年初版.1996年改訂版」 2.「人は放射線になぜ弱いのか(第3版),BLUE BACKS,1998年第1刷,2008年第5刷」 3.「内部被曝の脅威.ちくま新書,2005年第1刷発行,2011年第2刷」 1.は直ぐきた.2.3.は2週間こなかった.Amazonでこんなに時間がかかったのは初めてか.本も早く紙の媒体から電子媒体に移行しないとこの2週間は致命的と思った. 1.の本ではいったいどんな放射性元素がウラン238から発生しているのか,それらは発電のどのステージで起こっているのか,もっと知りたいのはヨウ素131はウラン238の臨界核分裂反応からしか得られないのか,今のヨウ素131のモニタから炉内の反応を推定できるのかどうか.を知りたかったためだ. 核分裂反応[1]を読むと,U235,U238,Pu239の核分裂生成物の生成率を見ると原子数76から160まで3桁ぐらい差はあるものの全部生成されている.化学反応のように特定の反応が起こっているわけではない.ヨウ素131は二コブの生成率表で見ると1〜2%のようだ.大気中モニタリングでヨウ素131が検出されたら8日間の半減期のヨウ素131は福島原発の事故由来と思えばいいだろうが,それが臨界だから起きているのか,使用済み燃料棒からも放出されているのかはわからない.引き続き要調査である.なお,[2]のページを見つけた. 原子力工学の本を探してわかったのは誰かがいってたけど,最近の本が無いのだ.原子核の専門書や一般向けの本はあるが,学生向けの原子工学の本が無い.大学で研究がなされていないのかもしれない.これは将来原子力を担う専門家が居なくなる事を意味しており今のうちに手を打っていかねばならないと感じた.日本の原子力発電所の廃炉までは数十年かかるゾ.世界には400機以上あるからビジネスは成り立つと思