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6月 13, 2010の投稿を表示しています

この人凄い「石塚徹さん」、「ゆかいな聞き耳ずきん」を読んで

” ゆかいな聞き耳ずきん、クロツグミの鳴き声の謎をとく ”を読んだ。 鳥仲間に薦められて図書館で借りた本だ。 Amazonにはなかった。 表紙をめくると新潟の昔話「聞き耳ずきん」から始まる。はたらきものの権兵衛が親切にしたネズミからずきんをもらう。そのずきんを被ると鳥の言葉がわかるという。果たして鳥の言葉のわかるようになった権兵衛は、庄屋の病気の娘さんをその力で直し、権兵衛は娘さんと結婚し幸せになったというお話、そんな昔話から始まる。 読み進めるとわかるのだが、石塚さんはクロツグミの囀りから個体識別し、森での繁殖行動を調査するまでになるが、もともとの動機は、クロツグミの囀りをカタカナで表したいことだったそうだ。挑戦する当時、クロツグミはレパートリーが豊富すぎて無限にある様に思われ、声をカタカナで表すという聞きなしは無理だと思われていたからだ。 なるほど本に書いてあるクロツグミの声のカタカナ書きを読むとクロツグミが鳴いている感じがする。カタカナでで書くことで個体毎の特徴が見えてきたそうだ。そこでその効果を調べるために、箱根の仙石原で個体識別に挑戦したところ、成功したと感じ自信ができ、「聞き耳ずきん」を手に入れたような気になったそうだ。そして大学の学生時代の研究で取り組んだ金沢の森でその威力を試すことにした。明示はないがそこでは鳥を捕まえて足輪を付けるバンディングが長年なされており、声による個体識別の結果を足輪で確認できることによるために彼の地を選んだのだろう。 当時、横浜市で教師をされていた石塚さんは毎週末を金沢に通うことになる。そこの森で、縄張りで囀るクロツグミの声と、目視による足輪確認で個体識別が可能であることを実証的に検証している。識別された個体には名前がつけられ、またその名前が付けられたことでよりいっそう鳥達の生活に入り込める様に読者の私も感じられた。 絵がまたいい。クロツグミの個体を書き分けられるのは鳥好きの岩本久則さんしかできなかったろう。腹の黒のマークがトランプ柄のアイディアもすばらしい。 そして、読み進めると個体識別の威力に圧倒される。 テリトリー以外でさえずることがあること。森のクロツグミは共通的な歌を持っていること。時に明らかに異なる歌を持つクロツグミが居着いた時、2〜3ヶ月で元の自分の歌を捨て、森の共通の囀りを覚

NHK「天平の言霊を見つめて」 をみて

たまたまつけたテレビ( 2010年6月13日NHK )で言葉と歴史の意義に出会うことができた。 辞任した前首相など日頃の施政者の言行をみるにつける、キリスト的な「初めに言葉あり」の文化と異なり、言葉の軽さと言葉による議論の力が弱いと感じていた。言葉自身の力が弱いと思っているのが原因かと思っていた。 でもこのテレビを見て、「そうではない。我が国にも原始、言霊があった。言葉の力を信じ、人々を揺り動かす力が宿っている」と教わった。その例として鑑真の人生を教えていただいた。よく知られているように5度の渡航に失敗し、失明してまでその想いを遂げた人。その動機、日本からの使者から「日本に来て仏教の戒律を教えて欲しい」と請われて弟子のだれも手をあげない中、「これは仏法の問題である。仏法の為に生命を惜しむことがあろうか。お前達が行かないのなら私が行こう」と真っ直ぐな言葉で表現し実行し、その言葉が今に伝わっている。時代を超えて言葉が人に感動を伝えている。なるほど、言霊とはそのような力を持っているものか。我が国にも言葉の持つ力「言霊」の文化があったと改めて気がつかされた。 また歴史が迷った人の人世の道しるべに成るというお話しも印象深かった。 今、迷うことが多い時代。これまでの我が先祖がどう迷いどう判断しどう結果がでたのか、参考に成ることが多くあるのだろう。 改めて言葉の力と歴史の意義が再認識できた番組だった。 【ゲスト】奈良大学教授…上野誠,【きき手】岸本多万重