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小笠原諸島に固有種を訪ねる旅(2) 海の鳥編

鳥編 旅行中、鳥が見られるのは次の2つに分けられる。 洋上の鳥:船上からの観察 島の鳥:父島、母島 なんと言っても小笠原は25時間かけて船でしか行けない。揺れる船ですることは鳥を見ることにつきる。 今回の旅はラッキーなことに野鳥の会東京の一行と同行させていただいた。船上で長時間、それとわかる格好で海を見ているのはバードウオッチャしかいないだろう。お声をおかけすると何人の方は見覚えがある。支部長もおられる。当地にアオバトをご覧になるため毎年いらっしゃる方がおられ、奇縁を感じる。 迷惑がかからない様にたまにお話をさせていただき、鳥のことも教えていただいた。 そして、今回の旅が思い出深いことにできたのは、ドイツから見えたお一人のバードウオッチャ、クラウスさんである。何でもその前の週は極寒の北海道でオジロワシやシマフクロウなどを見てこられ、今度は南国で鳥見+舟で旅する仲間と落ち合うことらしい。この方もそれとわかる出で立ちなのでいつの間にかお友達になった。バードウオッチングはグローバルな趣味だね。クラウスさんは首から72x20の電子式スタビライザ搭載のツァアイスの双眼鏡を掛けていた。この双眼鏡は、揺れる船からでも遠くの鳥をきちんと識別するためのもので、その思い入れを言わずもがな語っている代物である。 私は、海の近くに住むも海の鳥を見分けられないので、クラウスさん教えていただきながら、それでもわからなければ東京支部の方と会話しながら識別点など勉強させていただいた。 船上から見聞きできた鳥(鳥の名前は、クラウスさんに英語名で教えてもらいながら日本語名で東京支部の方と会話するというとても覚えきれず大変でした。なので英名の他、科学名も記します): コアホウドリ(Laysan Albatross, Diomedea immutabilis ) クロアシアホウドリ(Black-footed Albatross, Diomedea nigripes )、出るとすぐわかる。格好良い。大振りのダイナミックソアリングをします。 オオミズナギドリ(Streaked Shearwater, Calonectris leucmelas ) オナガミズナギドリ(Wedge-tailed Shearwater, Puffinus pacificus ) オーストン...

小笠原諸島に固有種を訪ねる旅(1)

小笠原諸島に固有種を訪ねる旅 期間:2010年03月20日〜3月25日 0.目的 5年毎に貰えるリフレッシュ休暇を利用して今年は小笠原に行ってきた。これまでもマレーシアとか、マダガスカル、ハワイ、オーストラリアとかに行ってきたが、そういえば国内の離島は行っていないなと思い、ここに決定。 目的は固有種を見ること。具体的には小笠原にしかいない野鳥メグロとここがもっとも良く見え固有種扱いの熱帯魚ユウゼンを中心に、植物もガイドの人に教えてもらおうという作戦。 1.準備 今回もぎりぎりまで仕事の調整ができず、期間が決まったのが2週間前。ナショナルランドに電話で船のチケットと休めの宿(2食付き)をお願いし後は現地でなんとかするという方法。それでも、隙間時間の有効活用で本を何冊買って読んだ。現地で役立った本の順に書くと、 「フィールドガイド小笠原の自然」小笠原自然環境研究会編(古今書院)1992年2月:この本は序文がすばらしい。都立大の加藤英男さんが書かれているが、小笠原の自然と人の関わりが簡潔に述べられており、戦後の日本返還後の自然破壊に警鐘をならしておられる。本文も島の自然を俯瞰できる様に地質、植物層、鳥類、昆虫など簡単にそれぞれの分野で纏まっている。また、トレッキングコースの解説もあり時間の限られている人に好適だ。 「小笠原 緑の島の進化論」青山潤三(白水社)1998年7月:フィールドワークする写真家による小笠原の自然、特に鳥類(メグロ、アカガシラカラスバト)、昆虫(オガサワラシジミ、オガサワラゼミ)と帰化生物との関わりを中心に失われていく固有動植物にこちらも憂いを示している。面白いなーと思ったのは、国の天然記念物で一種類しかいないとされているオガサワラゼミは実は2種いるのではないかの疑問提示とそれを解く個人の挑戦にある。鳴き声からの発想だが、個人で観察を続けて真に迫るアプローチは個人でもできることは多いのだと好感が持てる。 「小笠原ハンドブック」ダニエル・ロング、稲葉慎編(南方新社)2009年05月(第2版):手軽に読める。この本の特徴は第1部の小笠原ならではの歴史だろう。開拓時代という視点で足跡をのこした欧米人を中心にまとめられている。小笠原の名前が、1727年に浪人の小笠原貞任(さだとう)が先祖の小笠原貞頼(さだより)が1593年に発...

リフレッシュ休暇には

入社後5年毎にもらえるリフレッシュ休暇の有効期限が近づいている。 やっと決めた。小笠原だ。ツアー申し込んで、本を買って、blog読んで、足りない備品のリスト作って、それだけで旅行気分だ。 晴れるといいな。

カラフル羽毛恐竜

本日(2010.02.05)の毎日新聞夕刊(24面)に恐竜の羽の色が解ったとの報道があった。 北京自然博物館などの研究チームが「アンキオルニス」と呼ばれるジュラ紀後期の羽毛恐竜について、電子顕微鏡でメラニン色素を含む細胞を観察してわかったとのこと。鳥類に非常に近い恐竜の祖先で、とさかは赤褐色で、手、足にある風切羽ねは白く、羽先が黒いそうだ。 視覚的コミュニケーションに役立っていた可能性があるという。 写真参考。 考えてみると、鳥の色って、保護色や誘因色だったりして鮮やかなものも多いけど、昼間堂々と暮らしていた恐竜ゆずりだから4色ちゃんと見える。確か人より紫外線側が見えたはずだ。ネズミには見えないおしっこの紫外線の反射をチョウゲンボウは空から見ていると日経サイエンスで読んだ気がする。 と考えると、恐竜ももちろん、色によるコミュニケーションを行っていたはずだ。恐竜の絵が何となく野暮ったく、草食系が茶色一色だったりして、いや、それは保護色の葉緑素の色でしょう、って突っ込みたくなっていた。 それもそうなんだけど、3色しか識別できない人間が4色を識別できる鳥の色コミュニケーションを議論するのはナンセンスかもしれない。もっと豊かな、色彩の世界に生きている鳥たちに追いつくには人も紫外線をあわせて見える可視化装置が要りそうだ。3Dとあわせて使うと相当違ったことがわかるだろうな。

オイラーの式の証明その後、あるいは年初の目標進捗

覚え書きもあり、今週末の感想を。 年初の目標の一つ、自然数の和 1+2+3+4+...=-1/12 の証明ができるようになるため、年末に「リーマン予想のこれまでとこれから」を購入した。 ざっと一回読んでみて、なるほどリーマンのゼータ関数は広がりと深みがあることがわかった。これはこれで面白い。第I部「リーマン予想への助走」の中の「有限ゼータ関数」と「無限への接近」、第II部の「ピタゴラスからオイラーまで」で、その式はオイラーにより導出されている。一つ一つ手で確かめながら進めており、解るたびに自分が好きになる。しかし、この本はそんな簡単な式に拘泥すること無く先に進む。そこで、同じ著者の黒川信重が書いた「オイラー探検 無限大の滝と12連峰」を買い求めてこちらも読んでみた。 その式は12章の「自然数全体の和:オイラー瀑布」に取り扱われている。 1-2+3-4+5-6+7-8+9-10...=1/4 で、自然数の全体の和から偶数の和の2倍を引いた式になっており、その結果自然数の和が-1/12と出てくる。 つまり 1-2+3-4+5-6+7-8+9-10... =(1+2+3...)-2(2+4+6...) =(1+2+3...)-4(1+2+3...) =-3(1+2+3...) より 1+2+3+...=-1/12 オイラーは冪級数 1+x+x^2+x^3+... = 1/(1-x) を用いる。これは1/(1-x)のテーラー展開したもので、これを二乗し (1+x+x^2+x^3...)(1+x+x^2+x^3...)=1/(1-x)^2 の左辺は、 (1+2x+3x^2+4x^3...)であるからx=-1を代入すると 左辺=1-2+3-4+5-6... 右辺=1/(1+1)^2=1/4 である。ここまでは収束性を考慮に入れていないが、ゼータ関数のその後の研究でこの考え方は基本的に正しいのだそうだ。この正しいそうだを確信にすることが次の目標。問題をブレークダウンすることができた、というのが1月の成果。 今更ながら無限とか収束とかキチンと理解しておらず、そういえばテーラー展開も証明はできないことに気がつき、書斎をごそごそ探すと、「改訂微分積分学要論(青木利夫・吉原健一共著)」が出てきた。これ...

丹羽宇一郎氏の日経新聞「経済教室」は論旨がめちゃくちゃだ

人がブログに載せるとか、新聞に投稿するとか、何か世の中の人に知ってもらいたいことには2種類あると思う。 ポジティブな意見(うれしかった、感動した、感銘した、ありがたかった) ネガティブな意見(腹が立った、悔しかった、納得いかない) (この他に呟きが流行っているが) 今回はネガティブな方で恐縮です。 2010年1月28日付けの丹羽宇一郎氏(伊藤忠商事会長)が、日経新聞の経済教室の欄(27面)に「対米深化、経済再生が前提」と題する意見を載せている。 この文章は、悪文の典型だ。まず、論旨が通ってない。 始まりは「外交は各国間の信頼関係を中核に捉えるべき」と始まり、「日米の信頼が損なわれていること」に懸念を示し、現在の普天間基地移設問題について「我々が学ぶべきは経験ではなく歴史である」と書いている。歴史を紐解きながら信頼の意義をもとに現政権へ意見しているのかと思えば、結局いいたいのは経済力のない日本は他国から見て見劣りするので「経済こそが日米同盟の基盤で」、「経済が弱ったままで国際社内に発言力を確保することなどできるはずがない」と結んでいる。 ??? 現在の日本を取り巻く状況で、信頼と経済をどう関係があるのかが、クリアに述べられていない。 また、歴史に学ぶ必要性を2回も述べており、当然これに続く文章は、日本の過去の事例から教訓を引き、現在の普天間問題の意見を述べるべきところだが、これがない。歴史の引用は著者の見識が非常に問われるところである。この丹羽さんは歴史のどこを見て何を言いたかったのだろうか。 その他にも変な部分が多数ある、例えば、「厳しい関係は日米関係の歴史から見れば一時的で、今のアジアには日本にかわる国は無い」というアメリカ側からの分析の後、「隣国中国に対する抑止力としての役割の米国が日本から撤退すれば政治面で日本単独では中国と対峙できない」と仮定の話を持ち出して警告する。私はこういった論法が大嫌いだ。アメリカは彼の国の国益に基づき、日本から基地を撤退しないと読めるにもかかわらず、中国を仮想敵にして仮定で脅かす。この人は表層的な知識を組み合わせて眩惑させる種類の人だろう。深い洞察が感じられない。 こういった、社会的に地位のある方の論文が、大手の新聞が一般人を啓蒙目的の経済教室に眩惑的文章を載せるという構造は一体なんな...

肌に合う街、京都

国際会議で京都に行ってきた。昨日の発表も無事終わり、プログラムを見ると今日の午前中に自由時間が取れることがわかった。 そこで、市内観光。一日バス乗り放題のパスを買って御所まで。 お目当ては、アオバト。越冬するアオバトがここ御所では有名なのだ。烏丸通と今出川通りに面している御所は隣接するバス停は(多分)少なく、京都駅からはA2から乗るバスで京都府立医科大前で降りるのが便利である。一本西に行かないと御所に着かないのだが、そこは観光都市なので、すぐわかる。清和院御門から入り今日は右手に進んだ(google mapには御所の中のストリートビューが無い)。 シーンとした御所を歩くと、イカルやウグイス、アオジ、エナガの声が聞こえる。自然を案内した看板を見ながらしばらく歩くと、果たして、いましたいました、バーダーが。鳥を探すには、鳥を見ている人を捜すのが簡単。バードバスがあり、そこに10本、大砲が並んでいる。大砲とは、大口径の望遠レンズを付けたカメラを指す隠語だが、カメラメーカのキャノンと掛けてしゃれてもいる。 年配の方が多い。こちらはビジネススーツのままで、双眼鏡も持たないので観光客そのもの。「何か出ましたか」とそれなりのバーダーの格好で聞けば、ちゃんと教えてくれるのだが、今回は「鳥ですよ。そこの看板に載ってる様な鳥ね。」との答え。 よく聞けば、キクイタダキやアオバトなんかだという。見てる間にミヤマホオジロがアオジと場所の取り合いをしている。アオジの方が強いのね。カメラの人は望遠鏡を持っていないので、肉眼でしか確認できない。メスだな。 エナガやシジュウカラが警戒の声を出したので見上げると果たしてオオタカが飛んでいた。いつも彼らの感覚の鋭さを感じる。 大磯から来たというと「行きたいな」とのこと。もちろんアオバトを撮りにね。珍鳥談義を暫し楽しんで別れを告げた。 防寒着もなくビジネススーツでの観察なので、体が冷えた。歩いていると焚き火が見える。 中立売休憩所のなかの暖炉だ。店の方とお話ししていると、ここのうどんは手打ちで圧力鍋で蒸してから茹でるのでたいそうおいしいという。小腹もすいたので、それジャーというんで、『かけうどん』を頂いた。腰があって出汁もでて確かにおいしかった。 次のスポットは松栄堂。お香屋さんで、ここの堀川というの...