小笠原諸島に固有種を訪ねる旅
期間:2010年03月20日〜3月25日
0.目的
5年毎に貰えるリフレッシュ休暇を利用して今年は小笠原に行ってきた。これまでもマレーシアとか、マダガスカル、ハワイ、オーストラリアとかに行ってきたが、そういえば国内の離島は行っていないなと思い、ここに決定。
目的は固有種を見ること。具体的には小笠原にしかいない野鳥メグロとここがもっとも良く見え固有種扱いの熱帯魚ユウゼンを中心に、植物もガイドの人に教えてもらおうという作戦。
1.準備
今回もぎりぎりまで仕事の調整ができず、期間が決まったのが2週間前。ナショナルランドに電話で船のチケットと休めの宿(2食付き)をお願いし後は現地でなんとかするという方法。それでも、隙間時間の有効活用で本を何冊買って読んだ。現地で役立った本の順に書くと、
- 「フィールドガイド小笠原の自然」小笠原自然環境研究会編(古今書院)1992年2月:この本は序文がすばらしい。都立大の加藤英男さんが書かれているが、小笠原の自然と人の関わりが簡潔に述べられており、戦後の日本返還後の自然破壊に警鐘をならしておられる。本文も島の自然を俯瞰できる様に地質、植物層、鳥類、昆虫など簡単にそれぞれの分野で纏まっている。また、トレッキングコースの解説もあり時間の限られている人に好適だ。
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- 「小笠原 緑の島の進化論」青山潤三(白水社)1998年7月:フィールドワークする写真家による小笠原の自然、特に鳥類(メグロ、アカガシラカラスバト)、昆虫(オガサワラシジミ、オガサワラゼミ)と帰化生物との関わりを中心に失われていく固有動植物にこちらも憂いを示している。面白いなーと思ったのは、国の天然記念物で一種類しかいないとされているオガサワラゼミは実は2種いるのではないかの疑問提示とそれを解く個人の挑戦にある。鳴き声からの発想だが、個人で観察を続けて真に迫るアプローチは個人でもできることは多いのだと好感が持てる。
- 「小笠原ハンドブック」ダニエル・ロング、稲葉慎編(南方新社)2009年05月(第2版):手軽に読める。この本の特徴は第1部の小笠原ならではの歴史だろう。開拓時代という視点で足跡をのこした欧米人を中心にまとめられている。小笠原の名前が、1727年に浪人の小笠原貞任(さだとう)が先祖の小笠原貞頼(さだより)が1593年に発見したと幕府に嘘の報告したことに由来する。貞任は嘘がばれて重追放に処されたが、なんと幕府は諸島の主権を国際的に訴えるためにその後この嘘を利用したことにある。第2部は文化、第3、4部は海と陸の自然について書かれているが、ハンドブックという名前をつけるのなら、島を観光するときに役立つように編集するべきで、自然→文化→歴史とした方が良い。また、歩いてふと疑問に思うこの建物は何かが引けると良いと思う。この本は、自然の情報が少ないので島には持参しなかった。
- 「伊豆七島小笠原」(実業之日本社)2008年12月(第4版):ブルーバックの一つであり、現地の情報が正確に書かれており、衣食住分野の観光にはおすすめ。これは持参した。ビーチガイドもあり、後で述べるが、ビジターセンターで聞いた情報より本書の方が正確だった。
- 「小笠原の植物 フィールドガイド」小笠原野生生物研究会(風土社)2004年12月(第2版):良書なのでしょうが、植物自身に興味があんまりないので残念ながら活用できなかった。持参。
- 「翳りゆく楽園 外来種vs在来種の攻防をたどる」アラン・バーディック(ランダムハウス講談社)2009年09月:島に外来種が侵入し、それが定着に成功するとどのようなことが起こるのかを、資料ばかりでなく現地調査しながら、外来種を巡る自然と人々の攻防の書。まだ、全部読めていないがグアムでのミマミオオガシラヘビ、ハワイの鳥マラリヤ、旅するフジツボなどを例証しながら何が起こりどうしたら良いのかを考察を進めていく。小笠原の例はないが充分読み替え可能だ。
- 「小笠原クロニクル 国境の揺れた島」山口遼子(中央新書)2005年07月:ロング氏のハンドブックにも触発されて読んでみようかと思っているが、まだ1頁も読めていない。多分この分野が重くて観光先で読むには好きでないのだろう。持参。
- 「伊豆の海」伊藤勝敏(データハウス)2007年8月(第4版)。
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