鳥編
旅行中、鳥が見られるのは次の2つに分けられる。
- 洋上の鳥:船上からの観察
- 島の鳥:父島、母島
なんと言っても小笠原は25時間かけて船でしか行けない。揺れる船ですることは鳥を見ることにつきる。
今回の旅はラッキーなことに野鳥の会東京の一行と同行させていただいた。船上で長時間、それとわかる格好で海を見ているのはバードウオッチャしかいないだろう。お声をおかけすると何人の方は見覚えがある。支部長もおられる。当地にアオバトをご覧になるため毎年いらっしゃる方がおられ、奇縁を感じる。
迷惑がかからない様にたまにお話をさせていただき、鳥のことも教えていただいた。
そして、今回の旅が思い出深いことにできたのは、ドイツから見えたお一人のバードウオッチャ、クラウスさんである。何でもその前の週は極寒の北海道でオジロワシやシマフクロウなどを見てこられ、今度は南国で鳥見+舟で旅する仲間と落ち合うことらしい。この方もそれとわかる出で立ちなのでいつの間にかお友達になった。バードウオッチングはグローバルな趣味だね。クラウスさんは首から72x20の電子式スタビライザ搭載のツァアイスの双眼鏡を掛けていた。この双眼鏡は、揺れる船からでも遠くの鳥をきちんと識別するためのもので、その思い入れを言わずもがな語っている代物である。
私は、海の近くに住むも海の鳥を見分けられないので、クラウスさん教えていただきながら、それでもわからなければ東京支部の方と会話しながら識別点など勉強させていただいた。
船上から見聞きできた鳥(鳥の名前は、クラウスさんに英語名で教えてもらいながら日本語名で東京支部の方と会話するというとても覚えきれず大変でした。なので英名の他、科学名も記します):
- コアホウドリ(Laysan Albatross, Diomedea immutabilis)
- クロアシアホウドリ(Black-footed Albatross, Diomedea nigripes)、出るとすぐわかる。格好良い。大振りのダイナミックソアリングをします。
- オオミズナギドリ(Streaked Shearwater, Calonectris leucmelas)
- オナガミズナギドリ(Wedge-tailed Shearwater, Puffinus pacificus)
- オーストンウミツバメ(Tristram's Storm-petrel, Oceanodroma tristrami) 、帰りの小笠原丸からで300~400羽いたとのこと(支部長)。
- カツオドリ(Brown Boody, Sula leucogaster)
- アナドリ(Bulwer's Petrel, Bulweria bulwerii)、下面が黒のオオミズナギドリといった感じ。
- クロコシジウミツバメロ(Maderian Storm-petrel, Oceanodroma castro) 腰が白く羽が黒いウミツバメだったのでこれにしました。コシジウミツバメかどうかはわかりませんが。
東京湾近辺では、いつもの鳥たち:
セグロカモメ、ウミネコ、カワウ(?)、カモ類
この洋上の鳥については、その見方を含めて興味深かった。書き下すと、
- カモメ類はベイエリアにしかいない。カモメ類は船より高く飛ぶことがある。ダイナミックソアリングしない。
- ミズナギドリはダイナミックソアリングするが、上下の移動距離は狭く、海面のみ。好奇心が強いのか船と並走することも多い。
- アホウドリはダイナミックソアリングするが、水平線を超える高さまで上下運動をする。
- カツオドリは直線上に飛び、ダイナミックソアリングはしない。
- ウミツバメ類はダイナミックソアリングをする。船に近寄らない。船から逃げていく。そのため、船の前方にいる方が見やすいのではないだろうか。
- 東京から比較的近いとことはオオミズナギドリ、沖に出たらオナガミズナギドリに変わる。有名な話だそうですが、何が棲み分けのポイントなのかを書いているサイトはまだ見たことがありません。わかったら教えてください。
- クラウスさんから教えてもらった(というかまねてみました)海鳥の探し方。広い海にごま粒のような海鳥を探すのですから、ボー、としていては行けません。波の荒い日は波しぶきがかかるので、船の右舷や左舷あるいは後方に陣取ることになるのですが、太陽の反対が良いですね。順光か逆効果の問題でもちろん順光の方がいいです。視線は船の舳先方向から後方へ全体を4〜5つの区間に分割して、一区間を約0.5〜1秒ぐらい焦点を合わせて次々と移動させていく。タッタッタッタっと感じの首と目の運動になります。どうもクラウスさんはこれに加えて遠方と近いところを交互に見ているようです。クラウスさんは見つけるの早いんだ。見つけたら双眼鏡で確認。
- ポイントは多くいる種と少ない種の識別となります。私も、多くいるオオミズナギドリやオナガミズナギドリはそのうち双眼鏡では確認しなくてもわかる様になりました。
日が落ちてからはバーダーは船ではすることが無いのですが、ツアーに同行した方とお話しできる機会があり、野鳥のフィールドガイドを見せて蘊蓄まじりの話をしました。これが、ものすごい楽しかった。反応が鳥好きのそれでなく、意外なコメントがぽんぽん出てそんな見方があるのかと目から鱗でした。例えば、カイツブリに比べてカモは首が短〜い。けどカモの顔にあっているネとか、こんな服作ったら良いのにとか。
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