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丹羽宇一郎氏の日経新聞「経済教室」は論旨がめちゃくちゃだ

人がブログに載せるとか、新聞に投稿するとか、何か世の中の人に知ってもらいたいことには2種類あると思う。 ポジティブな意見(うれしかった、感動した、感銘した、ありがたかった) ネガティブな意見(腹が立った、悔しかった、納得いかない) (この他に呟きが流行っているが) 今回はネガティブな方で恐縮です。 2010年1月28日付けの丹羽宇一郎氏(伊藤忠商事会長)が、日経新聞の経済教室の欄(27面)に「対米深化、経済再生が前提」と題する意見を載せている。 この文章は、悪文の典型だ。まず、論旨が通ってない。 始まりは「外交は各国間の信頼関係を中核に捉えるべき」と始まり、「日米の信頼が損なわれていること」に懸念を示し、現在の普天間基地移設問題について「我々が学ぶべきは経験ではなく歴史である」と書いている。歴史を紐解きながら信頼の意義をもとに現政権へ意見しているのかと思えば、結局いいたいのは経済力のない日本は他国から見て見劣りするので「経済こそが日米同盟の基盤で」、「経済が弱ったままで国際社内に発言力を確保することなどできるはずがない」と結んでいる。 ??? 現在の日本を取り巻く状況で、信頼と経済をどう関係があるのかが、クリアに述べられていない。 また、歴史に学ぶ必要性を2回も述べており、当然これに続く文章は、日本の過去の事例から教訓を引き、現在の普天間問題の意見を述べるべきところだが、これがない。歴史の引用は著者の見識が非常に問われるところである。この丹羽さんは歴史のどこを見て何を言いたかったのだろうか。 その他にも変な部分が多数ある、例えば、「厳しい関係は日米関係の歴史から見れば一時的で、今のアジアには日本にかわる国は無い」というアメリカ側からの分析の後、「隣国中国に対する抑止力としての役割の米国が日本から撤退すれば政治面で日本単独では中国と対峙できない」と仮定の話を持ち出して警告する。私はこういった論法が大嫌いだ。アメリカは彼の国の国益に基づき、日本から基地を撤退しないと読めるにもかかわらず、中国を仮想敵にして仮定で脅かす。この人は表層的な知識を組み合わせて眩惑させる種類の人だろう。深い洞察が感じられない。 こういった、社会的に地位のある方の論文が、大手の新聞が一般人を啓蒙目的の経済教室に眩惑的文章を載せるという構造は一体なんな...

肌に合う街、京都

国際会議で京都に行ってきた。昨日の発表も無事終わり、プログラムを見ると今日の午前中に自由時間が取れることがわかった。 そこで、市内観光。一日バス乗り放題のパスを買って御所まで。 お目当ては、アオバト。越冬するアオバトがここ御所では有名なのだ。烏丸通と今出川通りに面している御所は隣接するバス停は(多分)少なく、京都駅からはA2から乗るバスで京都府立医科大前で降りるのが便利である。一本西に行かないと御所に着かないのだが、そこは観光都市なので、すぐわかる。清和院御門から入り今日は右手に進んだ(google mapには御所の中のストリートビューが無い)。 シーンとした御所を歩くと、イカルやウグイス、アオジ、エナガの声が聞こえる。自然を案内した看板を見ながらしばらく歩くと、果たして、いましたいました、バーダーが。鳥を探すには、鳥を見ている人を捜すのが簡単。バードバスがあり、そこに10本、大砲が並んでいる。大砲とは、大口径の望遠レンズを付けたカメラを指す隠語だが、カメラメーカのキャノンと掛けてしゃれてもいる。 年配の方が多い。こちらはビジネススーツのままで、双眼鏡も持たないので観光客そのもの。「何か出ましたか」とそれなりのバーダーの格好で聞けば、ちゃんと教えてくれるのだが、今回は「鳥ですよ。そこの看板に載ってる様な鳥ね。」との答え。 よく聞けば、キクイタダキやアオバトなんかだという。見てる間にミヤマホオジロがアオジと場所の取り合いをしている。アオジの方が強いのね。カメラの人は望遠鏡を持っていないので、肉眼でしか確認できない。メスだな。 エナガやシジュウカラが警戒の声を出したので見上げると果たしてオオタカが飛んでいた。いつも彼らの感覚の鋭さを感じる。 大磯から来たというと「行きたいな」とのこと。もちろんアオバトを撮りにね。珍鳥談義を暫し楽しんで別れを告げた。 防寒着もなくビジネススーツでの観察なので、体が冷えた。歩いていると焚き火が見える。 中立売休憩所のなかの暖炉だ。店の方とお話ししていると、ここのうどんは手打ちで圧力鍋で蒸してから茹でるのでたいそうおいしいという。小腹もすいたので、それジャーというんで、『かけうどん』を頂いた。腰があって出汁もでて確かにおいしかった。 次のスポットは松栄堂。お香屋さんで、ここの堀川というの...

Macで動画を

家族の思いでには、記憶の他に写真やビデオがある。 子供が生まれたときに、その子が父になり、父親に怒られたときに、父親が小さいことがあった、おじいちゃんもおばあちゃんも父親を愛していた、なんていうことを伝えるために、せっせと、親ばかを承知でビデオを録画していた。 メディアはHi8が主である。VHSもある。でも、Hi8のハンディーカムはヘッドが劣化して、ノイズが多くなりお蔵入り。今ではHDVのハンディーカムに代替わりしている。そこで、MacOSXでUSB接続でH.264形式で保存できるキャプチャー機(Blackmagic)を購入した。昨年の12月初めのこと。Hi8をどしどし溜め込んでいた。Hi8の再生映像がいつも底辺近くで乱れているのだが、こいつの良いところは取り込み位置を手動で調整できるところ。コンポジットばかりでなく、S端子も、コンポーネントも対応している。ユーザインタフェースも簡単そのもの。10分おきにファイル分割し、125分で取り込み終了すれば、終夜に動かしておけば良い。 そして問題発生。Hi8の再生に使っていたデッキが死んでしまった。しかもHi8のテープを噛んだまま、取り出せなくなった。修理に出すと、デッキの部品保管期間は8年で、それを超えているから、オーバホールはできず、機構系のみの修理でも約3万円だという。おいおい。 皆どうしているのか探しに探したらSONYからHi8のポータブルデッキが売っていた。GV-D200。こいつの良いところは、現行製品のHi8デッキであるところ、iLinkが使えること、デジタル機としても使えること。小さいこと。レガシーメディアのデジタルアーカイブ化の道を残してくれたことにメーカとしての良心をちょっとだけ感じた。価格をのぞいては。 最大の問題のテープが絡み付かないことだが、一回だけあった。テープを入れたらエラーが出て、出てこなくなった。電源抜いたりしてもだめ。リセット押したら、なんとか出てきてセーフ。 ところが、いい気になって動画取り込みしていたら、今度は内蔵HDDの容量が足りなくなってしまった。700GBもあるのに。 という訳で、1.5〜2.0TBにするぞ。今度はミラーリングしているバックアップ用のHDDの容量が足りなくなるに違いない。あ〜、映像も音声もディジタル化には金がかかる。

正月の行事

今日は、授業参観、地域の獣医科先生のお話、国の重要無形民俗文化財の左義長に行った。 小学5年生への中川獣医のお話は、身近な話題の水がどこからきたのかから、丹沢に、そしてそこに暮らす野生動物の環境の悪化(鹿の食害、狸の抜け毛、熊の里への出現など)からお話しいただいた。面白かったのは、台湾リス(クリハラリス)が相模川を超えてもう大磯に入っていること、野鳥に詳しい子が多いことがある。 無病息災を願う左義長で、団子を焼いて砂糖醤油で頂いた。毎年、毎年、子供達と熱い熱いと団子を焼くのが楽しい。 今日は、いくつか数式をいじってリーマン予想の本の最初の3つの定理を解くことができた。かいかん。

π(パイ)の神秘 を読んで

今日はπの本を読んだ。 図書館で数学の軽めの本を選んで借りてきた本だ。 この本は、円周率πを巡る人類の歴史を解釈/桁数の進展を中心にまとめられた本である。 本としては、まとまりがなくさほど魅力は感じなかった。ネットで調べたものを多少の裏付けは取ったもののそれらをまとめたという印象の強い本。 それでも面白かったこと、知らなかったこととして、以下を備忘録的に書き留める。 πの記号を普及させたのは最初でないにしろオイラーである。 スパコンを使って億の桁の計算で覇を争った日本の金田+田村チームの他方のチームは個人宅に自作した チュドノフスキー兄弟だった。 チュドノフスキー兄弟は天才的数学者だが、弟の病気もありソ連を逃げ出した(今読んでいる別の本もここが主題)。 πは超越数と呼ばれる、超越数のその意味

今年の目標

2010年も明けました。 今年の目標の一つに次の定理を証明できるようになることがある。先のブログの算数宇宙冒険の一つのお題です。 1+2+3+4+...=-1/12 自然数を全部足すと-1/12となるという定理です。ゼータ関数ζ(n)のn=-1の時の値がそれです。 そこで、図書館で何冊か書籍を借りてきてました。 ポイントは無限の個数を足し合わせたことにヒントがあるので、無限について書かれたものです。 足立恒雄著「「無限」の考察」(2009.06) 絵本の雰囲気を醸し出しているのだが、中身は非常に整理され、わかりがいい。記憶に残したいのでポイントを書いておこう。 数学的無限大は3つあり、 解析に登場する無限大 幾何に登場する無限大 集合に登場する無限大 面白いと思ったのは、集合の無限大。著者によると集合の発見こそ、数学史上至高の創造だそうだ。カントル(1845−1918)がその創始者で、無限集合は「一つの集合の一部分集合であって全体と1対1のペアリングを与えられる」と定義される(デデキントの定義)。自然数はnとn^2がペアレントの例で自然数は無限集合である。2つの線分は他の一点から照らせば、1対1にペアリングができるので、そして、相互に近い点は相互に近い点に写されているので同相と幾何ではいうそうです。そして、集合の対等性に目の覚める例が出てきます。集合Xの全集合と集合Yの全集合との間に1対1の対応を付ける方法があるとき、XとYとは集合として対等であるという。任意の線分はすべて互いに対等である。 そして、びっくりする例が、平面と直線が対等であるという証明。カントルが証明したとき自分でも信じられなかったという。 平面上に点(a,b)をおいて、 例えば、a=0.2019...、b=0.5508...とすれば、 各位の数字を互い違いに入れて c=0.25051098... という実数を作る。これで1対1のペアリングであることはほぼ明らか、という。これってなんか聞いたことがあるぞ。無限にある部屋のホテルにはもしも満員でも人をさらに泊められるという方法。一人の新たな客には宿泊客に一つズレてもらうこと。不思議だなー。1次元と2次元は等しいかといえば違う。集合として対等ではあるが幾何的には同相ではない。なぜなら、平面の点を中心...

「算数宇宙の冒険」を読んだ

算数宇宙の冒険  ( 川端 裕人 著)は、数学を題材にしたSF小説。 表紙が目にとまって手にした本。NHKスペシャルで最近あった「リーマン予想」のプログラムを見て予習効果となっていたこともあり、と ても身近に感じられた。 ゼータ関数; ζ(s)=Σ(n^-s) がその物語の基底となっている。 面白いと感じたのは、 η(s)=Σ(n^-s)=Π(1/(1-p^-1)), (nは自然数、pは素数) が和と積の世界のつながりとして物語の一部にしたところ。和と積の違いを、前にブログに書いたが、果たしてそういった考えをするんだと思ったのがその理由。sが1のときの証明もエラストテネスの考え方でできるというのも、もしかすると勘のいい小学生はわかるかもしれない。和と積は行列式と固有値の関係にも現れる。なるほどね。 物語のアイディアは、リーマン予想と物理学の関係にヒントを得ている。自明でない零点の間隔分布が重粒子のエネルギー準位解析に用いられたランダム行列理論に出てくる固有値の振る舞いと同じというのがそれで、話の後半はそれを手がかりにファンタジーを紡ぎだしている。 最初、数学を物語仕立てにした啓蒙書かと思いながら読んだため、相当違和感があったが、SFだとわかってからは気軽に読めた。 話の構造に近い本として、 井沢元の 猿丸幻視行 があるが、こちらの方が著者の解釈、考え方が一貫してすばらしい本であるが、それに比べると本書は何が伝えたかったことなのかはっきりしない。小粒なアイディアは満載されているが、それが大きな宇宙観なり、数学と物理をつなげる解釈なりに提示できていればいいのだが、そこまでは深まっていないのが残念である。次回作に期待というところだろう。 表紙のイラストは、とってもいい。日経エレクトロニクスの最近の表紙を書いた人だろう。理由はいえないが惹き付ける力がある。 そして、本書のもう一つ魅力で、新たな取り組みは、サポートサイトだろう。 算数宇宙の冒険 数学の解説 ビデオでゼータ関数の講義を聴けたが、1/3のところで睡魔で撃沈。また、 ゼータ関数の音色とか聞けて面白い。