冬の里山には夏以上に野鳥の賑わいが戻ります。この時期の夜明け時間帯に鳥たちの声を聞くのも楽しみです。もっとも年中聞いているのですが。
鳥は夏と違って冬は囀りをほとんどしません。地鳴きと呼ばれる短く地味な声を発します。しかし、地鳴きは幾つかの種で似た声を出します。また、ICレコーダの機能向上で自動録音で野鳥の生態を調べることも多くなりました。地鳴きの識別ができれば鳥たちの暮らしがより良く調べる事ができるのではないかと思います。そこで地鳴きで鳥が識別できないか考えてみました。
野鳥の調査で地鳴きを聞き、記録するとします。分かればその種の名前を、分からなければ不明種の意味で"?"とか"ツグミSP"とかで記録すると思います。
●不明種、断定できない種の割合:定点観察データから。
夜明け時間帯の鳥の鳴き声の定点観察を2年以上行っています。期間中(2014.04~2016.12の80日間)のデータで不明種の割合を求めました。1分間に聴こえた種を記録する方法でカウントし、特定できた鳥の声は31597個ありました。それに対して”?”と記録したのが 2706個でした。8.5%にあたります。”?”は特定できない音で人工音も含まれます。記録していない不明音はもっともっと多いので、不明音はそれより多く聞く音の10%位はあるでしょう。その中で明らかに鳥で、録音状態も比較的良く、後で確定したい不明音は960個ありました。これは特別な記号”WAY?"と書いています。Who Are You?の意味です。
これが今の実力です。識別で思い違いや間違いも多いと思っています。
●観察方法
私の場合、バイノーラルマイクに低ノイズのマイクアンプを付けて、ヘッドフォンを耳に当て、現場にてパソコンに直接リアルタイムに記録してます。その時、パソコンのマイクからの音をリアルタイムにソナグラムを表示させています。都合で行けないときはタイマーで自動録音も併用します。自動録音音源もソナグラムを表示させて可視化しています。次の頁は定点観察を始める前の方法で考え方を書いています。定点観察では集音器は使っていません。
http://woodie2wopper.blogspot.jp/2014/04/blog-post_241.html
ヘッドフォンを外し、裸耳で確認する事もしばしばです。
声から識別するときのプロセスは次のようになるでしょう。
●声から種の記録(種特定)のプロセス:
(3)でどう候補を絞り込むのかは、次の情報でしょうか。
それらから生息場所、行動、単独か群れか、声の意味(警戒か)を考えながら絞り込んで行きます。
●種特定、候補の絞り込みに利用する情報:
(例)薮から聞こえるチャチャで考えます。
声の候補はウグイス・ミソサザイの地鳴きか、ツグミSPのそれか。まず、声量で区別できると思っています。声量が大きければツグミsp。小さければウグイスかミソサザイ。遠いと声量を区別できず間違えます。定点の自動録音では距離を聞き分けるのは難しいので、同じ声量のチャ、チャが藪を移動すれば、ウグイスかミソサザイ、一所に止まっていて、チャチャの間にピョピョピョが入ればツグミspと判断したりします。
ウグイスとミソサザイは声に丸みがあればウグイス、硬ければミソサザイと思っていますが、迷う事も多いです。
バイノーラルマイクでも前後、上下の区別はできないので、ヘッドホンを外して方向を確認する事がしばしばあります。例えば、梢からするピシィ、ピシィなら、あーシメかと思います。
方向を確認する事で、環境を確認し、鳥の種類を絞り込みます。そのため自動録音ではこれができないので難しいですね。
あまり、役に立たないかもしれませんが、種特定のヒントになります。マヒワとかはまず1羽ではいないので。
●(4)候補から絞り込む
大磯丘陵で聞く声(地鳴き)で判断に困るの代表的は以下でしょうか。大坂基準で難易度別に分けてみました。
<私には区別できないもの>
・アオジとクロジ (チィ、チィ)→ 声紋を見るとクロジはチィの中に2つの山があるが、アオジは一繋がりである事が多い。アオジも2山の事があるので絶対ではない。知見が集まると区別できるようになって来ると思われます。
・シロハラとアカハラ (ピャピャピャ)、震える声でズィーと下がる声
・アオゲラ、アカゲラ (ケケ)→ 音質から区別できると言う人あり。
・ヤマドリとキジ (ドドド、母衣打) → ケッって鳴いてくれるとキジと分かるのですが。
・ハシブトガラスとハシボソガラス コアコアコア、ガー、グァ〜、ゴラゴラゴラなど甘え声や幼鳥の声は勉強不足。
・シジュウカラ、ヤマガラ、 (スイスイスイ)
<条件が良い・長く聞いていると聞き分けられるもの(分からない事も多い)>
・ウグイスとミソサザイ、シロハラ、アカハラ (チャ、チャ、チャ)
・ルリビタキとジョウビタキ (カッカッカ)
・カラ(シジュウカラ、ヤマガラ、ヒガラ、エナガ)
・カケスの鳴き真似 ブギュー、ピーユー
・ガビチョウの鳴き真似(ムクドリのジュ、ジュ、ジュ)→ 聞いているとガビチョウの歌が必ず入る
・ガビチョウの鳴き真似(ヒヨドリの声)
・モズの鳴き真似(メジロ)→ 声量が小さくグゼリが混じるので長く聞いていると分かる。
・ホオジロ、カシラダカとアオジ・クロジ → (チィ、チィ)と2声ならホオジロの可能性が高い、(チョチョと小さく鳴けばカシラダカ)
・アオゲラ・アカゲラとイカルの(キ、キ) → イカルは飛びながらこの声を出す事が多い。イカルの方が柔らかい。
・トビとノスリ ピューユ ピューユ (2014.12.20)→ 経験が少なく難しい
・セキレイが飛びながら一瞬出す声 → チンと澄んでいればキセキレイ、ジュと濁ればセグロセキレイ。ハクセキレイは要注意。
<よく聞くが分からないもの>
・夜明け前のジュ、ジュ:イワツバメ? → 夜明けの一瞬だけこの声が高頻度でするが、昼間の森では多く聞かれない。
・まだ暗いうちのグァグァ:カルガモ? → 真っ暗で羽音のヒンヒンと、この声がするがどのカモか分からない。
・ポァポァ:シロハラ?
・ポポポ,:キジバト?
・ピリーン:マヒワC? 頻度が少なくて
・ビンズイも経験が少なく確信が持てない。
<まれで分からないもの>
・ジジジジ:虫?メジロ?(2015.08.29)
その他多数(例えば)
・グワ
・ギーギュイギュイギュイ
・ジュージューピリーン
・キョンキョンキョン
・ビ、ッビビビビ
・ズィズィ
・ピ、ピピュピュ
・チョチョチョチョ
・フワフワフワ
・ルイトン、ルピトン
・ンッツ
など
●次のステップは、これら絞られた候補を区別する識別点を、それぞれに観察から積み上げて行くのがだなーっと思っています。これは別頁で拡充して行きたいです。
鳥は夏と違って冬は囀りをほとんどしません。地鳴きと呼ばれる短く地味な声を発します。しかし、地鳴きは幾つかの種で似た声を出します。また、ICレコーダの機能向上で自動録音で野鳥の生態を調べることも多くなりました。地鳴きの識別ができれば鳥たちの暮らしがより良く調べる事ができるのではないかと思います。そこで地鳴きで鳥が識別できないか考えてみました。
野鳥の調査で地鳴きを聞き、記録するとします。分かればその種の名前を、分からなければ不明種の意味で"?"とか"ツグミSP"とかで記録すると思います。
●不明種、断定できない種の割合:定点観察データから。
夜明け時間帯の鳥の鳴き声の定点観察を2年以上行っています。期間中(2014.04~2016.12の80日間)のデータで不明種の割合を求めました。1分間に聴こえた種を記録する方法でカウントし、特定できた鳥の声は31597個ありました。それに対して”?”と記録したのが 2706個でした。8.5%にあたります。”?”は特定できない音で人工音も含まれます。記録していない不明音はもっともっと多いので、不明音はそれより多く聞く音の10%位はあるでしょう。その中で明らかに鳥で、録音状態も比較的良く、後で確定したい不明音は960個ありました。これは特別な記号”WAY?"と書いています。Who Are You?の意味です。
これが今の実力です。識別で思い違いや間違いも多いと思っています。
●観察方法
私の場合、バイノーラルマイクに低ノイズのマイクアンプを付けて、ヘッドフォンを耳に当て、現場にてパソコンに直接リアルタイムに記録してます。その時、パソコンのマイクからの音をリアルタイムにソナグラムを表示させています。都合で行けないときはタイマーで自動録音も併用します。自動録音音源もソナグラムを表示させて可視化しています。次の頁は定点観察を始める前の方法で考え方を書いています。定点観察では集音器は使っていません。
http://woodie2wopper.blogspot.jp/2014/04/blog-post_241.html
ヘッドフォンを外し、裸耳で確認する事もしばしばです。
●声から種の記録(種特定)のプロセス:
- 声を聞く
- 知っていて他と違うと断定できればその種と特定する
- 特定できなければ、似た声の種の候補を絞り込む
- 候補のうち識別点が聞こえないか、更に聞く
- 分かれば特定した種を、分からなければ不明種の”?”などと記録する
ここでどう候補を絞り込み(3)、何を識別点に区別するのか(4)が問題で、識別はこの2つのステップに帰着できます。
(3)でどう候補を絞り込むのかは、次の情報でしょうか。
それらから生息場所、行動、単独か群れか、声の意味(警戒か)を考えながら絞り込んで行きます。
- 声がする場所の植生:薮か原っぱか、杉林かツタの絡まる落葉樹か→これはバードウオッチャには当たり前ですね。
- 声の距離と聞こえる大きさ → そこから声の主の音量(声量)を推定。
- 移動するか留まっているか
(例)薮から聞こえるチャチャで考えます。
声の候補はウグイス・ミソサザイの地鳴きか、ツグミSPのそれか。まず、声量で区別できると思っています。声量が大きければツグミsp。小さければウグイスかミソサザイ。遠いと声量を区別できず間違えます。定点の自動録音では距離を聞き分けるのは難しいので、同じ声量のチャ、チャが藪を移動すれば、ウグイスかミソサザイ、一所に止まっていて、チャチャの間にピョピョピョが入ればツグミspと判断したりします。
- 音質(高調波成分)
ウグイスとミソサザイは声に丸みがあればウグイス、硬ければミソサザイと思っていますが、迷う事も多いです。
- 声の場所の高さ
バイノーラルマイクでも前後、上下の区別はできないので、ヘッドホンを外して方向を確認する事がしばしばあります。例えば、梢からするピシィ、ピシィなら、あーシメかと思います。
方向を確認する事で、環境を確認し、鳥の種類を絞り込みます。そのため自動録音ではこれができないので難しいですね。
- 一羽か2羽か、群れか?
あまり、役に立たないかもしれませんが、種特定のヒントになります。マヒワとかはまず1羽ではいないので。
●(4)候補から絞り込む
大磯丘陵で聞く声(地鳴き)で判断に困るの代表的は以下でしょうか。大坂基準で難易度別に分けてみました。
<私には区別できないもの>
・アオジとクロジ (チィ、チィ)→ 声紋を見るとクロジはチィの中に2つの山があるが、アオジは一繋がりである事が多い。アオジも2山の事があるので絶対ではない。知見が集まると区別できるようになって来ると思われます。
・シロハラとアカハラ (ピャピャピャ)、震える声でズィーと下がる声
・アオゲラ、アカゲラ (ケケ)→ 音質から区別できると言う人あり。
・ヤマドリとキジ (ドドド、母衣打) → ケッって鳴いてくれるとキジと分かるのですが。
・ハシブトガラスとハシボソガラス コアコアコア、ガー、グァ〜、ゴラゴラゴラなど甘え声や幼鳥の声は勉強不足。
・シジュウカラ、ヤマガラ、 (スイスイスイ)
<条件が良い・長く聞いていると聞き分けられるもの(分からない事も多い)>
・ウグイスとミソサザイ、シロハラ、アカハラ (チャ、チャ、チャ)
・ルリビタキとジョウビタキ (カッカッカ)
・カラ(シジュウカラ、ヤマガラ、ヒガラ、エナガ)
・カケスの鳴き真似 ブギュー、ピーユー
・ガビチョウの鳴き真似(ムクドリのジュ、ジュ、ジュ)→ 聞いているとガビチョウの歌が必ず入る
・ガビチョウの鳴き真似(ヒヨドリの声)
・モズの鳴き真似(メジロ)→ 声量が小さくグゼリが混じるので長く聞いていると分かる。
・ホオジロ、カシラダカとアオジ・クロジ → (チィ、チィ)と2声ならホオジロの可能性が高い、(チョチョと小さく鳴けばカシラダカ)
・アオゲラ・アカゲラとイカルの(キ、キ) → イカルは飛びながらこの声を出す事が多い。イカルの方が柔らかい。
・トビとノスリ ピューユ ピューユ (2014.12.20)→ 経験が少なく難しい
・セキレイが飛びながら一瞬出す声 → チンと澄んでいればキセキレイ、ジュと濁ればセグロセキレイ。ハクセキレイは要注意。
<よく聞くが分からないもの>
・夜明け前のジュ、ジュ:イワツバメ? → 夜明けの一瞬だけこの声が高頻度でするが、昼間の森では多く聞かれない。
・まだ暗いうちのグァグァ:カルガモ? → 真っ暗で羽音のヒンヒンと、この声がするがどのカモか分からない。
・ポァポァ:シロハラ?
・ポポポ,:キジバト?
・ピリーン:マヒワC? 頻度が少なくて
・ビンズイも経験が少なく確信が持てない。
<まれで分からないもの>
・ジジジジ:虫?メジロ?(2015.08.29)
その他多数(例えば)
・グワ
・ギーギュイギュイギュイ
・ジュージューピリーン
・キョンキョンキョン
・ビ、ッビビビビ
・ズィズィ
・ピ、ピピュピュ
・チョチョチョチョ
・フワフワフワ
・ルイトン、ルピトン
・ンッツ
など
●次のステップは、これら絞られた候補を区別する識別点を、それぞれに観察から積み上げて行くのがだなーっと思っています。これは別頁で拡充して行きたいです。
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