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シバザクラの記事に思う

つぐみ(日本野鳥の会、福井支部発行、2009年6月号)に支部長の柳町邦光氏の記事「土手のシバザクラ群来に思うこと」を読んだ。シバザクラの群生の問題点が簡潔に記されており、それを備忘録として記したい。

まず、「水田に水が入って周りの緑を映しこんでいる田んぼでは、土手に咲いているシバザクラがひと際鮮やかに写っています。遠くから眺めるとシバザクラの畝が浮かび上がって、その広がりの美しさに圧倒されそうです」と新しい田園の風景を取り上げます。その後、以下の問題点を指摘します。

1.シバザクラは北米原産の外来種であること
2.管理された公園でなく、農耕地で(一種類のみ)植えられていること
3.その植え方が土手一面をシートを張り付けて株の部分だけ穴をあけて植える手法を取っていること
4.そのため、土手に根を張って来た在来種は全く呼吸もできず全滅に追いやられてしまうこと
5.これら在来種はこの地で生きて来た他の多くの生き物とつながりを持って来たはず(種子は野鳥の餌、葉は昆虫類の生息に寄与するなど)
6.この方法での土手の植栽が増えていること
7.自然再生を基軸にした生物多様性の保全が問われている(時流に逆行する)

そして、「耕地管理の省力化(雑草抜き)は理解できるが、もっと在来種を利用した植え付けや草花の咲く土手に多くの生き物住み着いてくれる方法があるものと思い、〜、私たちの足下からでも昔にあった自然を取り戻そうではありませんか」と結ぶ。

確かにシバザクラの群落は目に見事であるが、その植栽の方法や、そこにいたこれまでの生き物のことには思いが及んでいなかった。なるほどシバザクラだけの土手ではそれこそ「沈黙の冬」となって、鳥たちに餌を供給できないかもしれない。冬の田んぼは雪が無い当地ではホオジロの仲間、カワラヒワ、アトリの仲間やタヒバリなど実は非常ににぎやかでバードウオッチングも楽しいのである。農耕地をレクレーションの場として楽しむバーダにはシバザクラはそんな捉え方ができる問題をはらんでいる。しかし、生産者としての立場に立つと氏の結論は無神経な論に思えてします。

生物の多様性とは農地にとってみれば害虫の種類が多いことを意味しないだろうか。そして、昔にあった自然を取り戻そうとは、生産者に昔の手間のかかる方法をとれとは言っては無いだろうか。そうではなく、現代的な手法を組み合わせて種の多様性の低下させることなく、収穫率(生産者にとっては本質的には収入と思われる)を維持できる新しい手法を見つけだし、提案して行こうという結論なら生産者やシバザクラを推進する人たちともはなしができるようになるのではないかと思う。今にあった方法を双方が模索することこそ大事だと思う。

コメント

GAKU さんの投稿…
はじめまして。
シバザクラについて調べていたら行き着きました。
事後報告ですがリンクさせて頂きました。
http://blogs.yahoo.co.jp/gakugaku0225/53591563.html
ありがとうございました。

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