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講演会「大磯町の生態系保全と活用の可能性 ーイノシシを事例としてー」に参加して

講師に舩橋真俊さん(Sony CSL)をお迎えし、増えるイノシシをどう抑え、資源として活用できるかのアイディアを教えていただいた。久しぶりに知的に楽しかった。



大磯町では2004年に12頭の飼っていたイノシシが逃げ出すという事象があり、それに前後しイノシシが増え出したという。現在推定、500頭(猟師ヒアリングを元に指数成長モデル)。年間1.5倍に増えているとすると、年間250頭捕獲しないと爆発的増加してしまうとの氏の予測。イノシシ駆除の目的は高麗山の自然林の保全と人に危害を加えないレベルに保つこと。そして、イノシシそのものを経済(商品化)に組み入れることで無理なくイノシシの個体数を抑え込むことが重要で、いわゆる6次産業化だと思った。

イノシシを害獣駆除するのは様々に課題があるが、最大の課題はイノシシを取り巻く人たちの意思疎通ができていないことと、猟る人そのものが減っていないこと。幸い大磯にはベテランのハンターがまだおられるので、若手(兼業農家や自営の方)を今の時代に合った方法で育成することでうまく回せるのではないかという提言。その手助けの一環として、IT技術の活用でコミュニケーションの促進も計れる(罠にかかったイノシシをwebカメラで見つけ夜明けとともに告知することで兼業者でも時間を調整して無理なく解体など参加できる)。

Q&Aでは、全国的にイノシシが10年程度前から増えている印象だが大磯のイノシシ増加の原因は逃げ出した12頭か?の質問に、駆除研究を仕事にしてきた役場の方がコメントされ、全国的にイノシシが増えたのは、里山の人の利用が減ったため栗、柿、牧草、米の二番穂などが冬場にも多く残りイノシシの餌となっているためとの説明があった。なるほどと思ったが、10〜15年よりも前から里山の荒廃はあったろうに、疑問がまだ残っている。なにか別の複合要因がある気がした。

里山は江戸時代オーバーユースで松しか生えない場所であったが、現代は放置したために荒廃し少ない種の野生生物パラダイスになっている。里山は程よく人の手が入って人に気持ちがいい場所になると思われるが、どんな里山がいいのか、合意を得るのは、また、その運営はなかなか難しい問題だと思う。そうではあろうが、身直な里山でみんなで遊べるのは楽しいことだと感じた。

懇親会では、大磯町の鳥、アオバトの話も出た。森を面的に映像・音声をモニタリングししてアオバトの声から生息位置・時間をビックデータ解析で分布表示できるというアイディアもでた。これやりたい。幾つもアイディアが湧き出てくる。もっとも難しいのは音声データからアオバトを抽出することだろうけど舩橋氏は修士論文で「Modeling and Analysis of Birdsong Learning(鳴鳥類の音声発達に関するモデル化と解析)」も書いておられるので(多分)できるのでしょう。電源やデータのアップロードは森では難しいけど、期待大。

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